慢性膵炎は、膵臓に非可逆性、進行性の慢性炎症性繊維化をきたす疾患で、膵臓の内部に不規則な繊維化、細胞浸潤、実質の脱落、肉芽組織などの慢性炎症が生じることから、膵臓の外分泌・内分泌の低下を伴う病態です。臨床症状としては、膵酵素逸脱を伴う腹痛を繰り返すことが多いですが、その他にも仮性嚢胞・膵石などの局所の合併症に加えて、膵外分泌機能不全による脂肪便や内分泌機能不全による糖尿病など病期によって多彩な症状を呈します。病期が進行した非代償期においては、腹痛の頻度が減り、機能不全による症状が前面に出ることが多いです。成因としてはアルコール性が約70%と最も多く、次いで原因不明の特発性、胆石性があります。
診断は①特徴的な画像所見、②特徴的な組織所見、③反復する上腹部痛発作、④血中または尿中膵酵素異常、⑤膵外分泌障害、⑥1日80g以上(純エタノール換算)の持続する飲酒歴の組み合わせによる診断基準が用いられます。治療方針の決定には病期診断が必須です。病期としては、初期の代償期から移行期を経て、非代償期に至ります。代償期では、血中あるいは尿中の膵酵素の上昇を伴う腹痛発作である急性増悪期と軽快する間欠期を認めます。代償期の治療は、この急性炎症に伴う治療と予防が中心となります。非代償期では、腹痛症状は減少することが多く、外分泌および内分泌機能低下に対する治療が中心となります。これらの治療のほかに、膵石・仮性嚢胞など局所合併症に対する治療も必要に応じて行います。
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