胆石症は肥満人口増加に伴い胆嚢結石保有者も増加してきております。
胆石症は、肝臓で生成される胆汁(消化液)の排出経路である胆嚢や胆管に結石が形成される疾患の総称です。胆石の存在部位によって、胆嚢結石、総胆管結石に分類されます。
胆石はその成分により、コレステロール胆石、色素胆石(ビリルビンカルシウム石と黒色石)に分類されます。コレステロール結石の形成には、胆汁中コレステロールの過飽和、結晶化、胆嚢収縮の低下が関与しています。危険因子としては、カロリー・動物性脂肪の過剰摂取、高脂血症、ダイエット、肥満などが指摘されています。ビリルビンカルシウム結石の主な原因は、胆道感染です。
胆嚢結石の多くは無症状ですが、右季肋部の疼痛や違和感などを呈することがあり、発作時には激しい心窩部痛をきたし悪心、嘔吐を伴うことがあります。急性胆嚢炎を発症するとさらに発熱を伴います。胆嚢結石を疑う症例に対しては、血液検査、腹部エコーを行います。胆嚢結石の患者さんは、年1~2%に急性胆嚢炎、急性胆管炎、急性膵炎等の重篤な症状を発症するといわれています。胆嚢結石の経過中に胆嚢癌が発見されることもあるので、経過観察にあたっては注意が必要です。
総胆管結石の一般的な症状として、結石が胆管に嵌頓することに伴う腹痛、黄疸が知られています。急性胆管炎を発症すると発熱が出現します。総胆管結石が疑われた場合は血液検査、腹部エコー、CT、MRCPを行います。
無症状の胆嚢結石は経過観察が基本ですが、有症状(仙痛発作、胆嚢炎)、癌の合併が疑われる症例に対しては胆嚢摘出術が行われます。内科的には、仙痛発作に対する薬物療法、高脂肪食制限、胆嚢炎ではドレナージ術と抗菌薬治療が行われます。胆管結石では内視鏡的結石除去が第一選択の治療となっており、胆管炎に対しては内視鏡的胆管ドレナージ術+抗菌薬治療を行います。胆管・胆嚢結石合併例では、胆嚢炎の発症が高頻度であるため、予防的な胆嚢的摘出術が勧められます。
胆石症は、腹痛や背部痛などの何らかの症状がきっかけとなって診断されることが多いです。そのスクリーニングとしての検査は、血液・生化学検査、腹部単純X線検査、腹部超音波検査などが施行されます。
血液生化学検査は、胆嚢結石では異常が出ることが少ないですが、総胆管結石では肝機能異常を伴うことが多いです。腹部単純X線検査は、カルシウム成分の多いビリルビン系結石では、X線陽性結石として認められます。腹部超音波検査では、音響陰影を伴う高エコー域として描出されます。エコーで描出困難な場合は、CT検査やMRCP検査を行います。
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