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B型肝炎

B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)が血液・体液を介して感染して起きる肝臓の病気です。日本では、約130~150万人(およそ100人に1人)が感染していると推定されています。
B型肝炎ウイルスは肝臓に感染して炎症(肝炎)を起こします。肝炎が持続すると慢性肝炎から肝硬変、さらには肝癌へと進展する可能性があります。

HBVは感染した時期、感染した時の健康状態によって、一過性の感染に終わるもの(一過性感染)とほぼ生涯にわたり感染が継続するもの(持続感染)に大別されます。HBVの持続感染は出生時または乳幼児期の感染によって成立し、成人期の初感染では持続感染化することは稀です。持続感染が成立した場合、大部分は肝機能の正常なキャリアとして経過し、その後免疫能が発達するに従い、顕性(症状が現れる)または不顕性(症状が現れない)の肝炎を発症します。そのうち85~90%は、B型肝炎ウイルスの活動が抑えられた状態(HBe抗原(-)、HBe抗体(+))となり、最終的に肝機能の正常な無症候性キャリアへ移行し、残り10~15%が慢性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌)へ移行します。一過性の場合は、70~80%は不顕性感染で終わるものの、残りの20~30%のケースでは、急性肝炎を発症し、このうち約2%が劇症肝炎を発症します。劇症型では致死率は約70%です。

B型肝炎は、急性肝炎と慢性肝炎の大きく2つに分けられます。

急性肝炎では、主に全身倦怠感、黄疸、褐色尿、発熱、嘔吐などが出現します。HBVの感染はHBs抗原陽性によって診断され、IgM-HBc抗体の高力価陽性の場合、HBV初感染のB型急性肝炎と診断されます。血液生化学的検査では、AST、ALT、ビリルビン値の上昇を認めます。急性肝炎は自然治癒が期待できる病気で、9割以上の症例が無治療のままHBs抗原陰性、引き続いてHBs抗体陽性となります。このため基本的に治療は不要で、肝障害や自覚症状の程度に合わせて安静、輸液などの対症療法を行います。急性肝炎の重症化、劇症化が懸念される場合には抗ウイルス療法を検討します。

B型慢性肝炎は、臨床的に6ヶ月以上の肝機能検査値の異常と肝炎ウイルスの感染(HBs抗原陽性)が持続している状態です。慢性肝炎は通常は無症状です。急性増悪期には全身倦怠感、肝硬変に進展すると、黄疸、腹水、肝性脳症(意識障害)などの肝不全症状を呈します。現在の治療でHBVを完全に排除することはできません。そのため、B型慢性肝炎の治療目標は、宿主の免疫または抗ウイルス薬によりHBVの低増殖状態を維持することです。

HBVキャリアの約90%は自然経過で、HBe抗原からHBe抗体へセロコンバージョン、HBV DNA量低下、肝炎の沈静化が起こり、非活動性キャリアとなります。このような経過の症例は予後が良く、治療を必要としないことが多いです。肝炎発症後もHBV DNA量が十分に低下せず、肝炎が持続する症例では、肝硬変への進行や肝細胞癌の合併の危険性が高いので、積極的な治療(抗ウイルス療法)が必要となります。

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